User Manual
【1】MU2000って親戚のおじさんみたい?
DTM音源の名前って、なんだかよそよそしいと思いませんか?
たいていアルファベットと数字の組み合わせになってて、なんとなく親しみにく
いって云うか、滅多に会わない親戚のおじさんのような雰囲気があります。クラ
スメートにこんな名前のヤツがいても、たぶんそいつとは友達になれないかもしれ
ません。例えどこかでばったり会うことがあっても、曖昧に微笑んですれ違うだけ
だったりしそうです。
考えてみると、自動車にはカローラやアコードなんて名前が付いてるし、テレビや
洗濯機にも画王や静御前なんて立派な名前が付いてます。DTM音源にも名前を付け
ればいいのに、と思うのですが…。
というわけで、実はMU2000にもちょっとしたよそよそしさを感じてました。
僕が初めてMU2000を見たのは、何かのイベント会場。雑踏の中に、ふと懐かしい
曲が流れているのを聴いて振り向くと、NHKが制作した往年の名番組「新日本紀
行」のテーマ曲を演奏しているMU2000がありました。
「新日本紀行」は、1970前後の高度成長とともに消えゆく日本の原風景を、まる
で映画のようなアングルで記録した往年の名番組。で、そのテーマ曲は富田勲先生
が作曲された名曲でした。雪深い山里の風景なんかをバックにこの曲が流れると、
しみじみと「いいな〜」って思ってました。
最近ではNHKで深夜に再放送がはじまり頻繁に耳にするようになった曲ですが、こ
のイベントの時は子供の頃に番組を見て以来だったので、記憶の片隅に焼き付いて
いるのと全く同じ質感で演奏されている曲に懐かしさがこみ上げてきて背筋がぞく
ぞくしたものです。
おかしなもので、こういう体験があると、それまで「MU2000」という名前に感じ
ていたよそよそしさが消えて、一度に分かり合えたような気がするんですよね。
関西風に言うと、「けったいな名前やけど、けっこう話せるやん。」って感じ。
結局は、じっくり付き合ってみないと本当のところはわからないと云うことなんで
しょうね。ま、つまりは人も音源も同じというわけです。
この講座では、みなさんにMU2000に対して少しでも親しみを感じても
らえるように、彼の「ひととなり」や「来し方行く末」なんかを、肩
肘張らずにご紹介していきたいと思ってます。
というわけで、気楽に読んでもらえればいいな、と思います。