User Manual
Multichannel Monitoring Tutorial Booklet (M2TB) rev. 3.5.2
Masataka Nakahara : SONA Corporation
©2005 YAMAHA Corporation, ©2005 SONA Corporation
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【メインチャンネル】
・オールパスレベル 85dBC
・バンドレベル(1/3oct.) 約 71dB
【LFE のバンドレベル(1/3oct.)】
・約 81dB(+10dB) DVD-Video,映画
・約 71dB(±0dB) DVD-Audio,SuperAudioCD
【LFE のオールパスレベル(20Hz〜120Hz)】
・約 89dBC(約+4dBC) DVD-Video,映画
・約 79dBC*(約-6dBC) DVD-Audio,SuperAudioCD
* LFE の再生帯域を 20〜120Hz と仮定した場合.
上記のオールパスレベルは,LFE の再生帯域を 20Hz〜120Hz に仮定した場合の値であるため,オールパスレベ
ルを頼りに調整を行う場合は,サブウーファーから再生される LFE 信号に対して 120Hz の LPF をモニターアウ
トに適用しておく必要がある.もしくは,調整用に使用するピンクノイズに対して 120Hz を上限とした帯域制限
を適用しておいても良い.
オールパスレベルは,周波数特性や再生帯域幅によって,その値が簡単に変化してしまう.特に部屋の音響特性の
影響を受けやすい低域特性は不安定になりやすいうえに,メインチャンネルとサブウーファーで低域再生能力の異
なるシステムも多く,規定通りのバンドレベル(+10dB,±0dB)に調整するためには慎重な測定・調整が必要と
される.従って,実際の測定においては,騒音計だけでなく RTA を併用し,オクターブバンドレベルにて各チャン
ネルのレベルバランスを確認しておくことが望ましい.
騒音計を用いたオールパスレベルによる調整は,すべてのスピーカーの再生条件が理想的な場合でのみ厳密性が保
障される簡易調整方法である.
尚,ベースマネージメントが適用された環境では,既にベースマネージメントの前(LFE バス)で+10 のゲインが
与えられているため,再生レベルの調整は,ベースマネージメントの後(サブウーファー)に対して行わなければ
ならない.
ここまで使用してきた 85dBC は,映画館用の調整をベースとした値である(SMPTE202M-1998,SMPTE
RP200).つまり,音源信号レベルと再生音圧レベルの絶対値を規定することにより,同じプログラムがどこでも
同じ音量で再生できるようにする手法である.実際にこの環境でプログラムを再生すると最大で約 110dBC の再生
音量が得られる.劇場用映画作品以外では,絶対レベルを規定する必要はないため,ピンクノイズの入力レベルや
リスニングポイントの音圧レベルに関しては,任意の値でも良い.相対的な音圧バランスが保たれていることが重
要である.また,家庭環境を想定した音量再生を行いたい場合は,79dBC を目安として調整を行うと良い.
但し,最近では,「85dB の音量」という表現が,メディアを問わずマルチチャンネル作品の再生時に用いられるこ
とが多く,85dBC の再生ポジションをスタジオの基準として持っておくと便利である.
広帯域ピンクノイズを再生した場合の「85dBC」は,スピーカーの再生特性が 20Hz〜20kHz の広帯域再生であ
ることを仮定した場合の目標値である.従って,その場合の 1/3 オクターブバンドレベル「71dB」が本来の再生
レベルの目標値である.また,LFE の再生レベルは,メインチャンネルのバンドレベルに対する相対値(+10dB,
±0dB)で与えられているため,サブウーファーとメインスピーカーの低域再生能力が異なる場合には,単純なレ
ベルの比較が困難である.このような点から,確実なモニター調整を行うためには,騒音計だけではなく,RTA を
併用した測定・調整が重要である.それが困難である場合には,500〜2kHz の狭帯域ピンクノイズを用いた簡易
測定を検討するなどの工夫が必要である(但し,LFE の調整は不可).また,ベースマネージメント機能を一時的に
使用し,一旦全てのメインチャンネルの再生帯域を 20Hz〜20kHz の広帯域に拡張してから調整を行うなどの工夫
も有用である.