Users Guide
電源装置冗長性
電源装置の冗長性が有効化されると、シャーシ内の 1 台の PSU がスペアとして維持され、PSU のうちいずれかが故障してもサー
バーまたはシャーシの電源がオフにならないことを確実にします。電源装置の冗長性モードには、少なくとも 2 台の PSU が必要で
す。追加の PSU が存在する場合、これらは DPSE が有効になるときに電力効率性向上のために活用されます。冗長性喪失後の障害
は、シャーシ内のサーバーの電源がオフになる原因となる場合があります。
ハードウェアモジュールの電力バジェット
CMC は、シャーシの電力バジェット、冗長、動的電源機能を設定する電力バジェットサービスを提供します。
電源管理サービスは、電力消費量の最適化、および需要に応じた異なるモジュールへの電力の再割り当てを可能にします。
CMC は、取り付けられているすべてのサーバーとコンポーネントに必要なワット数を蓄える、エンクロージャ用の電力バジェット
を維持します。
CMC はシャーシ内の CMC インフラストラクチャおよびサーバーに電力を割り当てます。CMC インフラストラクチャは、ファン、
I/O モジュール、ストレージアダプタ、PCIe カード、物理ディスク、メイン基板などのシャーシ内のコンポーネントで構成されま
す。シャーシには、iDRAC を介してシャーシと通信するサーバーを最大 4 台装備できます。詳細については、dell.com/support/
manuals にある『iDRAC7 ユーザーズガイド』を参照してください。
iDRAC は、サーバーへの電源投入前に CMC にパワーエンベロープ要件を提示します。パワーエンベロープには、サーバーの動作を維
持するために必要な最大および最低電力要件が含まれています。iDRAC の初期推定値は、サーバー内のコンポーネントについての
当初の理解に基づいています。動作が開始され、コンポーネントがさらに検出されると、iDRAC は初期電力要件を増加または削減
する場合があります。
エンクロージャ内でサーバーの電源がオンになると、iDRAC ソフトウェアは電力要件を推定し直して、パワーエンベロープの次回変
更を要求します。
CMC は要求された電力をサーバーに供給し、割り当てられたワット数は利用可能バジェットから差し引かれます。サーバーの電力
要求が認められた後、サーバーの iDRAC ソフトウェアが実際の電力消費を継続的に監視します。実際の電力要件に基づいて、iDRAC
パワーエンベロープは時間の経過と共に変化する場合があります。サーバーが割り当てられた電力を完全に使用していると、iDRAC
が電力増加を要求します。
高負荷下では、電力消費がユーザー設定のシステム入力電力上限未満に留まることを確実にするため、サーバー上のプロセッサのパ
フォーマンスが劣化する場合があります。
PowerEdge VRTX エンクロージャは、ほとんどのサーバー構成のピークパフォーマンスに十分な電力を供給できますが、使用できる
多くのサーバー構成では、エンクロージャが供給できる最大電力を消費しません。データセンターでのエンクロージャ用電力の割り
当てに役立てるため、PowerEdge VRTX では、シャーシ全体の AC 電力利用が特定のしきい値内に留まることを確実にするシステ
ム入力電力上限を指定することができます。CMC はまず、ファン、I/O モジュール、ストレージアダプタ、物理ディスクドライブ、
メイン基板、および CMC そのものを動作させるために十分な電力を確保します。この電力割り当てはシャーシインフラストラク
チャに割り当てられた入力電力と呼ばれます。シャーシインフラストラクチャの後、エンクロージャ内のサーバーの電源がオンにな
ります。システム入力電力上限は、「電力負荷」より低く設定することはできません。電力負荷とは、インフラストラクチャに割り
当てられた電力と電源の入ったサーバーに割り当てられた最小電力の合計です。
メモ: 電力上限機能を使用するには、Enterprise ライセンスが必要です。
総電力バジェットを
システム入力電力上限
以下に保つために必要な場合、CMC はサーバーに対して要求された最大電力よりも少な
い値を割り当てます。サーバーには
サ
ー
バ
ー
優先順位
設定に基づいて電力が割り当てられるので、優先順位の高いサーバーには最大
電力が提供され、優先度 2 のサーバーは、優先度 1 のサーバーの後に電力が割り当てられることになります。優先順位の低いサーバ
ーは、
システム入力最大電力容量
とユーザー設定の
システム入力電力上限
設定に基づいて優先度 1 のサーバーより少ない電力が提供
される場合があります。
シャーシ内における追加サーバー、共有 HDD、PCIe カードなどの構成の変化には、
システム入力電力上限
の引き上げが必要な場合
があります。温度状態が変化し、ファンをより高速で稼働させる必要がある時にも、追加電力を消費する原因となることから、モ
ジュラーエンクロージャでの電力需要が増加します。I/O モジュール、ストレージアダプタ、PCIe カード、物理ディスク、メイン基
板の装着や、PSU の台数、タイプ、構成によっても、モジュラーエンクロージャの電力需要が増加します。管理コントローラを起
動させておくためにサーバーの電源が切られる時でさえも、サーバーによってごく少量の電力が消費されます。
追加サーバーは、十分な電力が使用可能である場合にのみ、モジュラーエンクロージャ内での電源投入が可能です。
システム入力電
力上限
は、追加サーバーへの電源投入を行うため、最大値の 5000 ワットまで常時増加させることができます。
電力割り当てを削減するモジュラーエンクロージャの変化には、次が含まれます。
• サーバーの電源オフ
• I/O モジュールの電源オフ
• ストレージアダプタ、PCIe カード、物理ディスクドライブ、およびメイン基板の電源オフ
• シャーシの電源オフ状態への移行
電力の管理と監視 163