User manual - TOEIC®Test学習ソフト実力UP編/完全制覇編
ユーザーズガイド12
英語能力測定法
言語の運用能力は聞く力(Listening)、話す力(Speaking)、読む力(Reading)、書く力(Writing)
の4つの領域から成り立っています。このうちListeningとSpeakingは音声言語の分野に属し、
ReadingとWritingは文字言語の分野に属しています。
また、別な観点から見ますと、ListeningとReadingは聞くと読むとの違いはありますが、いず
れも「理解」を目的としています。これに対して、SpeakingとWritingは話すと書くとの違いは
ありますが、いずれも「表現」を目的としています。
英語能力を判定するためには、この4技能を注意深く、万遍なく観察することが必要です。
しかし現実には、受験者の数が少ないときはいいのですが、その数が何千人、何万人というこ
とになると、費用的・時間的にはほとんど不可能になります。特に、表現を扱うSpeakingと
Writingは評価基準がどうしても主観的になりますので、膨大な数の受験生の評価基準を完全
に統一するということは至難の業です。これに対して、理解を扱うListeningとReadingの評価
基準は客観テストによって、比較的容易に設定することができます。
ただし、ここで問題になるのは、理解と表現との相関関係、つまりListeningとSpeakingとの相
関関係、ReadingとWritingとの相関関係です。
TOEIC Testを開発・実施するに当たっては、種々の実例・検証調査を行ってきています。そ
の結果、ListeningテストスコアとSpeaking能力との相関係数は0.83、Readingテストスコアと
Writing能力との相関係数も0.83という数字を得ました。これらの相関係数は十分に満足すべき
数字です。
ListeningテストスコアからSpeaking能力、ReadingテストスコアからWriting能力を総合的に測
定することができるように設計されています。
ListeningスコアとReadingスコアを合計したものが、トータル・スコアです。トータル・スコ
アは全体の英語能力を示し、セクション・スコアはそれぞれ音声言語能力と文字言語能力を示
しています。
点数評価基準
合格、不各格といった評価基準とは違って、点数表示による評価基準は非常な厳密さを要求さ
れます。入学試験のような選抜試験では、上から何名と定員まで選べばいいのですから、事は
簡単です。これは、いわゆる相対評価基準です。
これよりもむずかしいのは、合格、不合格を絶対評価基準で決定する場合です。たとえば、医
師国家試験がこれに当たります。医業に携わることができる知識、経験基準というものを設定
し、この基準に合った者のみを合格させるというのが絶対評価基準です。絶対評価基準による
テストは、何回目のテストであれ評価基準が絶えず同一でなければなりません。
しかし、これは理論上のことで、実際には評価基準はテストによって多少変動するものと考え
られます。
これよりもさらにむずかしいのは点数表示による絶対評価基準です。たとえば、あるときに50
点を取って、そのまま英語力に変動がない場合には、2年後に別のテストを受けても50点にな
るというような評価基準です。
ただし、完全な評価基準を作ることは現実的には不可能です。というのは、同じ問題を出すと
いうのならともかく、テスト問題は毎回変えていかなければなりませんから、それだけでも点
数の変動は避けられません。